スピニングリールは、初心者から上級者まで幅広い釣り人に愛される、もっともポピュラーなリールの一つ。
扱いやすくさまざまなシーンで活躍するため、これから釣りを始める人にもおすすめです。
一方で、番手やギア比、ドラグ性能、そして素材や重量など、知っておきたい選び方のポイントがたくさんあるのも事実。
この記事では、スピニングリールとはどんなものか、そして自分に合ったモデルをどう選べばいいのかを分かりやすく解説していきます。
初心者はもちろん、買い替えを検討している方もぜひチェックしてみてくださいね。
スピニングリールの選び方
スピニングリールを選ぶとき、「メーカーもたくさんあるし、番手やギア比も多彩でよく分からない…」と悩む方は多いですよね。
ここでは、選びのポイントを少し具体的に掘り下げてみました。実際に釣り場で使うイメージを膨らませながら、 自分のスタイルに合ったリールを探す手助けになれば嬉しいです。
1. リールサイズ(番手)を選ぶ
スピニングリールは「○○番」という数字で大きさや糸巻き量の目安を示します。
数字が大きくなるほどパワーやラインキャパシティが増える一方、自重も重くなる傾向です。
番手帯 |
主な対象魚 |
主な用途・特徴 |
1000~2000 |
アジ、メバル、管理釣り場トラウトなど |
ライトゲームに最適。軽量で繊細な釣りを楽しめる反面、大物には不向き。 |
2500~3000 |
シーバス、エギング、バス、エリアトラウトなど |
“万能サイズ”で、初めての1台にもおすすめ。
さまざまなルアーフィッシングをカバーしやすい。 |
4000~5000 |
ショアジギング、サーフでのヒラメ・マゴチ、大型シーバス、青物 |
パワーと糸巻き量が必要な中~大型魚向け。
ドラグ力や剛性にも注目すると、より安心。 |
6000番以上 |
大型青物(ブリ・カンパチなど)、オフショアの大物 |
リール自体も大きく重くなる分、非常に強いドラグ性能とラインキャパを持つ。 |
同じ番手でもメーカーやモデルによって若干大きさや糸巻き量が異なることがあります。
スペックシートの「PEライン○号が何メートル巻けるか」を必ずチェックしてみてください。
2. ギア比を選ぶ
リールには「ハンドル1回転あたりの巻き取り量」を示す“ギア比”というスペックがあります。
ギア比が高いと(ハイギア、エクストラハイギアなど)一度に巻き取れるライン量が多く、テンポの良い釣りが可能です。
ギア比 |
特徴 |
向いている釣り例 |
ハイギア(HG) / エクストラハイギア(XG) |
巻き取りスピードが速く、手返しよく探れる。
回収が速いので効率的だが、パワーはやや落ちがち。 |
エギング、ショアジギング、シーバスなど |
ノーマルギア / ローギア(PGなど) |
1回転あたりの巻き取り量は少ない分トルクが強く、大型魚とのやり取りでも巻き負けしにくい。 |
青物狙い、底物狙いなどパワー重視の釣り |
「とにかくルアーの回収を速くしたい」「広範囲を手早く探りたい」ならハイギア以上を、
「重めのルアーでもグイグイ巻きたい」「大型魚と粘り強くファイトしたい」ならノーマルギアを選ぶイメージでOKです。
3. ドラグ性能をチェック
ドラグは、魚が掛かったときにラインが切れないよう適度に滑ってくれる大切な部分です。
滑り出しがスムーズで、設定値を安定して維持できるかどうかがポイントになります。
- ライトゲームでも重要:アジやメバルなど小型魚対象でも、ドラグの初動が悪いと口切れしやすい。
- 大物狙いなら耐久性も重視:引きが強い魚だと長い時間ドラグを出されるため、ワッシャー素材の質や放熱性もチェック。
エントリー~ミドルクラスでも、近年はドラグ性能が向上しているモデルが増えています。
気になる場合は店頭で軽くドラグを出してみて、滑らかに動くか確認してみると良いでしょう。
4. リールの重さ(自重)を意識する
スピニングリールの重さは、長時間ロッドを振り続ける釣りほど疲労度に大きく関わります。
- エギング、ショアジギング:しゃくりが多いので、軽量リールの方が疲れにくい。
- ライトゲーム:もともと小型番手で軽めだが、少しの重量差でも感度や操作性に影響が出る場合も。
- 大型番手:重くなる分、大物に対応しやすい剛性を兼ね備えているケースが多い。バランス重視で選ぶのが◎。
5. ボディ素材・剛性も気にしてみる
リールのボディ素材はアルミやマグネシウム、カーボン系などさまざま。素材によって軽さや強度、防錆性が変わってきます。
- アルミ系:剛性が高く大型魚にも安心。やや重め。
- マグネシウム系:軽量かつ強度も高いが、海水にはやや弱い傾向。
- カーボン系:非常に軽量で耐錆性も良好。ただし高価格帯に多い。
6. ハンドル・ノブの形状も見逃さない
ハンドル長やノブの形状によっても巻きやすさや操作性が大きく変わります。
- パワーハンドル・大きめノブ:青物など引きが強い魚を狙う際に握り込みやすく、トルクをかけやすい。
- I字型や小型ノブ:アジングやバスのように繊細な操作を要求される釣りで、指先の感度を活かしやすい。
ノブはあとからカスタムパーツに交換できるモデルも多いので、最初は標準仕様で使い、
必要に応じてアップグレードする手もあります。
7. ベアリング数や巻き心地
リールのスペック欄には「ベアリング数 ○個」と書かれていることが多いですが、数が多いほど常に高性能というわけではありません。
ベアリングの品質や配置も大きく影響します。
- ベアリング数が少なくても、必要なところにしっかり配置されていれば巻き心地は十分。
- ハイエンドモデルほど高精度なベアリングを複数搭載しており、結果として軽く静かな巻き感が実現される。
ショップで触れるなら、実際にハンドルを回して「ゴリゴリ感がないか」「軽やかか」を確かめてみましょう。
8. 価格帯とブランドの目安
スピニングリールはおおまかにエントリー・ミドル・ハイエンドの3つの価格帯に分けられます。
価格帯 |
例価格(目安) |
特徴 |
向いている人 |
エントリークラス |
5,000~10,000円前後 |
お手頃価格で初めてのリールやサブタックルに最適。
耐久性や巻き心地・ドラグ精度は上位機種に比べるとやや劣ることが多い。 |
釣りを始めたばかり / 使用頻度が低い /
特定用途で安く使いたい |
ミドルクラス |
1~2万円台くらい |
コストパフォーマンスが良く、耐久性・巻き心地・ドラグ性能のバランスが優秀。
幅広いモデルが揃っている。 |
週末アングラー / そこそこの品質を長く使いたい /
複数の釣りに使い回したい |
ハイエンドクラス |
3万円~ |
軽量素材や高精度パーツをふんだんに使用。
剛性・ドラグ性能・巻き心地が非常に高水準。 |
釣行回数が多い / 大物狙いで信頼できる装備が欲しい /
道具にこだわりたい |
国内ではシマノとダイワが特に人気が高く、さまざまな価格帯やシリーズを展開しています。
アブガルシアやOkuma、PENNなど海外メーカーも質の高いリールを多数リリースしており、
大物狙いの方に好評なモデルも多いです。
9. シチュエーション別モデル選び例
- アジング・メバリング(ライトゲーム)
・番手:1000~2000番
・ポイント:自重の軽さ、ドラグの初動の良さ
・ライン:PE0.4~0.6号あたり
- シーバス・エギング
・番手:2500~3000番
・ギア比:ハイギア(HG) or エクストラハイギア(XG)
・ドラグ:不意の大物にもスムーズに対応できるモデルを
- ショアジギング・サーフ
・番手:4000~5000番
・ドラグ力:5kg以上(できれば7kg前後)
・素材・剛性:負荷の大きい釣りなので、しっかりしたボディが◎
- オフショア(船釣り)
・番手:5000番以上
・防水性能:海水の浸入に配慮
・ハンドルノブ:パワータイプでしっかり握れるもの